心不全とむくみの関係
人間の心臓は、収縮して血液を拍出し、元に戻るときに、上流の心房を通った血液が心室の方に流れ、それに伴い肺動脈や大動脈から心臓に血液が戻るという仕組みになっています。ところが、様々な心疾患などの原因によって、心臓の収縮力が弱まり、結果的に身体のあちこちの臓器や組織に、必要な血液を送り出すことができなくなった状態を「心不全」といいます。実は、むくみと「心不全」は密接に関係しているケースが多くあります。
うっ血性心不全(心性浮腫)の症状
心不全になると、身体の静脈に血液のうっ滞が起こり、この状態を「うっ血性心不全(心性浮腫)」といいます。
うっ血性心不全は、中高年以降、老年者に比較的多い疾患とされていますが、症状としては、全身のあちこちにむくみが生じ、立っていると足が、横になっていると背中がむくむ、というように、体位によりむくむ場所が変化する場合で、さらに呼吸困難などの症状がある場合には、「うっ血性心不全」が疑われます。
また病気などで寝たきりの方の場合は、背中や腰にむくみが生じることがあります。放っておくとむくみは、全身に及ぶようになり、肋膜腔(ろくまくくう)に水分が溜まることもあります。この状態で、むくみが進むと体重が増加し疲労感や倦怠感が強くなります。
うっ血性心不全と肺水腫
うっ血性心不全になると、全身の臓器や組織への十分に必要な血液の供給が不足してしまうため、肺や静脈系の「うっ血」が生じます。そのため様々な症状が出てくることになります。
うっ血性心不全になると、全身の組織や臓器への血液の供給が不足するために肺や静脈系のうっ血が生じます。これが原因で様々な症状が出てきます。
その中でもよく見られる症状のひとつが、全身のむくみや肺水腫です。
「肺水腫」とは空気が出入りする呼吸器に水が溜まった状態で、肺に浮腫(むくみ)が生じた状態です。呼吸困難など急に発作として生じることがありますので非常に危険な状態です。
浮腫は、肺静脈、抹消静脈の内圧の上昇と拡張により、血管内の水分が血管外の組織に浸出したことが原因ですから、こうなると、逆にホルモンや神経系を介して、腎臓が水分とナトリウムの排泄を少なくしようと調節することになり、つまり尿の量を少なくするようになってしまい、ますますむくみが増強する結果になります。こうなる前に、専門医から適切な治療を受けなければなりません。
生活の中で注意するべきこと
心不全を悪化させる要因の中には、水分や塩分の過剰摂取があげられます。
特にむくみが酷い場合は、かかりつけの医師の指導の下、水分の摂取量を1日500〜1000ミリリットルくらいまでに抑え、塩分については、症状に応じて一日10グラム以下、7〜8グラム以下、5グラム以下、3グラム以下、と4段階に制限されるはずです。心不全を悪化させないためにも、これらのことは厳守するようにしましょう。