むくみの発生するメカニズム
むくみとは、医学的に定義すると、「細胞と細胞の間に、様々な原因により間質液と呼ばれる水分が過剰に溜まった状態」のことを言います。
人の身体の水分は体重の60%と言われますが、その水分のは、2/3が細胞内に、1/3が細胞の外に存在しています。この細胞の外に存在する水分の80%は間質液で、残り20%は血漿(けっしょう)と呼ばれる血液の液体成分や、リンパ液などです。そしてこれらの水分は、人体のどこにどれくらい存在するというような分布に決まりがあります。
むくみの正体
人間の身体には、全身を巡るように動脈、静脈と言われる血管とリンパ管が張り巡らされています。心臓がポンプとなって送り出された血液は、動脈を通り身体の隅々まで行き渡り毛細血管に達すると毛細血管の小さな隙間から染み出てきます。これを間質液や組織間液と言います。
間質液は、酸素や栄養素を細胞に与える一方で、細胞の代謝によってできた二酸化炭素(炭酸ガス)や老廃物を受け取り、毛細血管の静脈側やリンパ管で再吸収され心臓へ戻ります。
通常は、血管から染み出る水分量と再吸収される水分量は常に同じなので、細胞と細胞の間に存在する水分(間質液)は一定でなければなりませんが、何らかの原因によって染み出る水分量が多すぎたり、再吸収がうまく行かなかったりすると、行き場の無くなった水分が皮下に溜まってしまい、これが「むくみ」となって現れます。
足がむくみやすい理由
ご存知のように、人の身体で一番むくみやすいのは足ですが、正常な人間におけるむくみの主な原因は「静脈のうっ滞」によるものです。うっ滞とは、静脈血が滞った状態のことを言います。
静脈血を戻すための2つのポンプ
血液は、心臓から動脈を通って足まで送られ、静脈を通って心臓へ戻されます。足の静脈血を心臓に戻すためには、2つのポンプの力が働いています。
ひとつは言うまでもなく「心臓」ですが、もうひとつは「足の筋肉」です。特に「ふくらはぎの筋肉」が足に溜まった静脈血を心臓方向へ押し上げる原動力となっていて、これを「筋ポンプ作用」といいます。
筋ポンプ作用が働かないと
しかし重力の影響で足へ送られた血液を心臓に戻すためには、それなりに力が必要です。この力が不足すると足に溜まった静脈血をスムーズに心臓へ戻せなくなるために「むくみ」を起こします。
活発に動いている方は、足の筋肉を使っているために静脈のうっ滞は起こりませんが、長時間立ちっぱなしや座りっぱなしなど、足の筋肉を使わないでいる方がむくみやすいのは、足の筋肉を使わないために筋ポンプ作用が働かず静脈のうっ滞が起こるためです。
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